ネギ-葱-Welsh Onion
- 学名:Allium fistulosum
- 分類:ユリ科ネギ属
- 原産地:中国西部、シベリア
- 仏名:ciboule
- 独名:Lauch
アジア産のユリ科の多年草草本。日本には、古くから伝えられ、「日本書紀」や「万葉集」に記載があります。「葱は、気の儀なり。根を賞するにより根葱という」と古書にあるごとく、気を高める作用が昔から知られていたのでしょう。
ネギの栄養素
ネギを含め、タマネギ、ニラ、ニンニクなどのアリウム属の野菜は、アリイン(アイル硫化物)が含まれ、強壮、興奮、去痰、発汗、利尿などの作用を示し、熱の出る病気に対して用いると、体内の老廃物を排除し、解毒、消炎作用を発揮します。アリインを含む植物を調理して細胞を砕くと、アリインは、一緒に含まれているアリナーゼという酵素により分解されてアリシンに変化し、強烈な刺激臭を放ちます。ビタミンB1は、アノイリナーゼという体内の酵素により破壊されますが、アリシンと結合してアリチアミンに変化すると破壊されないので、アリウム属の野菜は、ビタミンB1の働きを高め、滋養強壮、陳s寧効果を促進してくれるのです。ネギの青い部分には、β-カロチン、ビタミンB2、ビタミンC、ニコチン酸などのビタミン類や、カルシウム、リン、マンガンなどのミネラル類が含まれるので、冬場のビタミン補給に適した野菜です。
食品成分表(可食部100gあたり)
- エネルギー:28kcal
- 水分:91.7g
- 炭水化物:7.2g
- カリウム:180mg
- カルシウム:31mg
- リン:26mg
- 鉄:0.2mg
- 亜鉛:0.3mg
- マンガン:0.10mg
- ビタミンB1:0.04mg
- ビタミンB2:0.04mg
- ビタミンB6:0.11mg
- 葉酸:56μg
- ビタミンC:11mg
- 食物繊維総量:2.2g
ネギの品種
- 根深ネギ:土を寄せて葉鞘(ヨウショウ)部分を白く長くしたもの。長ネギ、白ネギ、と呼ばれる。緑の葉は、かたい。
- 小ネギ(万能ネギ):「博多万能ネギ」というブランド名で有名。葉ネギを若採りしたもの。やわらかく色も美しい。
- ワケギ:ネギとタマネギの雑種。よく枝分かれするので、「分葱(ワケギ)」と呼ばれる。香りは、ややマイルド。
- リーキ:西洋種。ポロネギとも呼ばれる。白い茎の部分をゆでてから、料理に用いる。
- アサツキ:ネギの近親種。糸ネギとも呼ばれる。おもに薬味として使われる。さしみに添えるのは、殺菌効果があるから、という理由らしい。カロテンを多く含む。
- 九条太:京都特産の葉ネギ。青ネギとも呼ばれる。1本の茎から5~6本に枝分かれする。茎と葉の両方を食す。
- 芽ネギ:密植させたやわらかい芽を7cmほどで刈り取ったもの。
- 赤ネギ:茨木県特産。レッドポワローとも呼ばれる。軟白部分が、赤紫色になる。肉質は、やわらかく辛味も少ない。
- 佐久殿様ネギ:下仁田ネギと同品種。むかし、殿様に献上していたことから名付けられた、という。加熱すると甘みが増す。
- 観音ネギ:広島市の在来種。夏から秋に収穫される品種。葉ネギと白ネギの中間。
- 千台曲ガリネギ:宮城県の伝統野菜。軟白する際に、寝かして植えると、直立しようとするネギが曲がって生育する。
- 宮ネギ:栃木市周辺で栽培されている在来種。太くて、短いが、味と香は、格別。霜にあたると、甘くなる。
- 超津ネギ:愛知県津島市超津発祥。軟白栽培に適しているが、葉もやわらかいので葉鞘と葉の両方を利用できる。
- ヒロッコ:山形県庄内地方で栽培されている。さっとゆでて、おひたしや酢味噌和え、卵とじなどに使われる。