サトイモ-里芋-Taro
- 学名:Colocasia esculenta
- 分類:サトイモ科サトイモ属
- 原産地:マレー半島
- 別名:タロイモ
熱帯アジア原産のサトイモ科の多年草草本。日本へは、稲渡来以前の縄文時代に、すでに中国から伝来しており、「万葉集」に出てくる「宇毛」が、サトイモとされています。山里で一般的に栽培されているので「山芋」に対して「里芋」と命名されたようです。江戸時代の「大和本草」には、「湿地を好む。山中の農多く植えて糧として飢を助けて甚民用に利あり」とあり、サトイモが、重要な救荒食であったことを示しています。葉柄は、「ずいき」と呼ばれ、乾燥させたものから「イモガラ」と呼びどちらも食べることができます。青茎と赤茎があり、「ハスイモ」という葉柄を食べるだけのための品種もあります。
サトイモの栄養素
デンプンが多く含まれ、そのエネルギー化を助けるビタミンB1、脂肪の燃焼を助けるビタミンB2、たんぱく質も多く含まれ、消化・吸収もよく、老人、子供、病人の栄養補給に優れています。サトイモ特有の成分として、粘液質のムチンやガラクタンがあります。ムチンは、たんぱく質の消化促進、滋養強壮、解毒などに優れた作用があります。ガラクタンは、ガラクトースを成分とする多糖類で、脳細胞を活発にする働きがあります。イモ類の中では、一番エネルギーが低く、カリウムや食物繊維が多く含まれています。
食品成分表(可食部100gあたり)
- エネルギー:58kcal
- 水分:84.1g
- タンパク質:1.5g
- 炭水化物:13.1g
- 灰分:1.2g
- カリウム:640mg
- リン:55mg
- 鉄:0.5mg
- 亜鉛:0.3mg
- 銅:0.15mg
- マンガン:0.19mg
- ビタミンB1:0.07mg
- ビタミンB2:0.02mg
- ビタミンC:6mg
- 食物繊維総量:2.3g
皮をきれいにむく方法
ぬめりが気になり、うまくむけない場合は、泥を洗って落とし皮つきのままゆでます。冷水の中で皮をむけば、つるりときれいにむくことができます。ぬめりは塩であることでも落とすことができます。このぬめりにも薬効があります。
選び方・保存
品種にもよりますが、土垂(どだれ)の場合は丸みがきれいで、濃い茶色、土がついて湿っているものがよいといわれています。皮がむかれているものは、赤い斑点が出ていないものを選びます。乾燥を嫌うので、土付きのものは、ぬれた新聞紙でくるんで常温で保存し、皮をむいたものは冷蔵庫で保存します。
サトイモの品種
- 石川早生(いしかわわせ):球形の小いも用品種で、大きさがそろっている。やわらかく、やや淡泊。
- 土垂(どだれ):関東地方で多く栽培されている品種。粘りが強く、柔らかい。
- 田イモ(水イモ):沖縄県産。水田や湿地で作られ、緑起物として正月料理にも使われる。粘りが強く、アク抜きが必要。
- 京イモ:子イモをつけず、肥大する親イモを食べる。地上に伸びる姿がタケノコに似ており、タケノコイモとも呼ばれる。
- チバ丸:千葉県育成の品種。土垂の改良腫でクセがなく、さっぱりした風味。色白で丸型。
- エビイモ:京野菜のひとつ。親子健康品種の唐芋を特殊栽培して湾曲させたもの。粉質で粘りが強い。
- 八ツ頭:親子兼用種。親イモと子イモが結合しており、味が良い。煮物の他、縁起物としておせちにも使われる。
- セレベス:赤芽、大吉とも呼ばれる。親子兼用種で、全体的に赤みを帯びている。ホクホクとしており、ぬめりが少ない。
- ハスイモ:いもでなく、葉柄を食用とする品種。
- 大和早生(ヤマトワセ):新潟・富山を中心に作られている土垂系の品種。粘りが強く色白で、きめ細かいのが特徴。
- 八幡イモ(ヤハタイモ):新潟県佐渡群の在来種。形状は、細長く粘りが強い。
- 伝燈寺サトイモ(デントウジサトイモ):金沢市伝燈寺町で栽培されている品種。粘り強く、もっちりしている。
- ズイキイモ:親イモ、子イモ、葉柄のすべてが食べられる。
- イモガラ:いもの茎。ずいきと呼ばれる。生のものは、皮をむいてからゆで、アク抜きをしてから使う。